深刻な状況が続く北海道の地域医療

北海道暮らし  |

Snowy road with electric pole東北6県+新潟県に匹敵する広さを有する北海道。北海道は、日本の中でも医療崩壊がかなり進んでいる地域として問題視されています。

医師不足の根本的な原因は偏在ではなく絶対数の不足にあるというのが共通認識になりつつありますが、北海道の場合その実態はより深刻。人口あたりの医師数は北海道全体で見ると全国平均を超えているのですが、面積あたりにすると全国最低、100病床あたりでも最低レベルです。ここからは厳しい労働実態が読み取れます。それに加え、二次医療圏別に見ると旭川などの上川中部圏と根室圏には約3倍の格差があります。絶対数が不足しているうえ、地域格差も広がっているのです。

この状況が顕著に出ているのが産科や小児科。出産できる病院が近くになく、遠くの町へ向かう道中の車内で出産した人がいたり、過労死する小児科医がいたりと、医療サービスは十分とはいえません。さらに最近では外科や救急、内科医の不足によって手術をとりやめたり、病院や病棟を閉鎖・縮小したりと徐々に状況は悪化しています。この悪循環を抜け出すには、まず医師の絶対数を増やさなくてはいけません。そこで、各医療機関があらゆる手を尽くして人材確保に取り組んでいます。こちらの北海道の医師転職特集を見ても分かるように、全体的に待遇は高め。各手当を含めれば年収2,000万円を超える求人も少なくありません。これ以上医療崩壊が起きないよう、それぞれが対策を練っていることがうかがえます。

不足しているのは医師だけではありません。看護師にも同じことがいえます。人口あたりの看護師数は全国平均を大きく上回っていますが、100病床あたりになると全国平均を下回った44位。二次医療圏ごとで見てもその数には2倍以上の格差があります。2006年の診療報酬改定で7対1看護が導入されてからは都市部の大病院に看護師が引き抜かれることも増え、その格差はますます広がってきています。

病院というのは、行きたいと思ったタイミングで近くになければ意味がありません。ですが、北海道ではそのサービスの供給が満足にできていない状況です。地域住民が北海道で適切な医療サービスを受けられるようになるには、あとどのくらいかかるのでしょうか。


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